神経科学的に言えば散らかった部屋を片付けることが難しいのは当然
神経科学(俗っぽく言えば脳科学でしょうか)的に言うと、散らかった部屋の片づけは非常に難しいという話です。
片づけは実はダイエットや英会話、受験等、日本人にとって達成することが難しいものであり、そういった達成することが難しいものほど産業が発達します。
その片づけに関して今回は神経科学の分野から切り込んで話をしたいと思います。
脳の中には前頭葉という部分があり、前頭葉は人間の理性的な部分を生み出す重要な場所です。
自己コントロールや意思決定は前頭葉が大きく関与されているとされています。
つまりその前頭葉の働きの仕組みを理解して上手く使いこなすことにによって、片づけに失敗しなくなります。
片づけに関する悩みは長年続いているようで、今でも片づけに関するテレビ番組や書籍が数多く世の中に存在しています。
それほど皆の関心が高く、そして受験やダイエットなどのように皆思うようにできていないほど難しいことなのでしょう。
ではなぜ、散らかった部屋を片付けるのが難しいのか。
前頭葉は先ほど書いたように意思決定を司る分野です。片づけで言うと、残す、残すならどこに仕舞う、捨てる、売る、人にあげるなどの意思決定をしてくれています。
つまり私たちは片づけは前頭葉を主に使って行っているのですが、実は前頭葉も筋肉と同じように使えば使うほど疲れてしまいます。
あまりにも酷く散らかった部屋を片付けるためには、何度も何度も意思決定を行わなければいけません。
何度もその意思決定をしているうちに前頭葉は簡単に疲れ切ってしまいます。
何度も取捨選択の意思決定をしていると、脳が疲れて熱くなり「プシュ~」と言っているような感覚になったことがある人は多いかと思います(例えばセンター試験のテスト、就職活動でよく行われる性格適性検査、車やケータイを買ったときにどのオプションを付けるかつけないか等。ケータイや車のオプションの選択が最後に沢山あるのはわざと行われている戦略。)。
つまり使えば前頭葉は疲れてしまうものなので、片づけは極力疲れにくい状態で行うことが良いと言えます。
そのためにはまず基本的に朝が一番片づけには適しています。
例えば仕事が終わって帰ってから、少し片づけようと思っていたけど全然できなかったという経験がある人は多いかと思います。
それは日中仕事で散々前頭葉を酷使してきたのですから、ヘトヘトになっていて当然なのです。
逆に朝は何もまだ意思決定をしていない段階なので、まだ前頭葉は疲れていません。
片づけは午前中に行いましょう。
「前頭葉のために朝片づけをするのはわかったけど、どうやればいいの?」と言う方。
例えば断捨離は他人に容赦なくやってもらった方がうまくいくとか、こんまりさんのときめかない物は捨てるとか様々な言説がありますが、確かに前頭葉の仕組み的に言うと正しいかもしれません。
まず他人に意思決定してもらう方法は、自分で意思決定するよりも所有物自体に思い入れがないため、捨てるという決断に抗う感情を押しのけてでも決断する力が必要じゃなくなります。つまり1つ1つの意思決定の負荷が軽くなり前頭葉が疲れにくくなる可能性があります。
次にこんまりさんのときめかないものは捨てるというものですが、これは何か明確な判断基準を作ってしまい、それをクリアできないものは機械的に捨ててくという判断を下すもので、この機械的と言うところが重要になっていると思います。
機械的になれば脳みそを使う必要はありません。例えるなら、12,4,6,36,66,20この中の数字で10以上と10以下を分けてというようなものです。これなら1回あたりの選択の負荷は軽いので、何百何千とやらないと脳は疲れませんよね。
以上のことから言えるのは、「よーしやるぞー」と意気込んで普通に要るか要らないか自分でいちいち自己決定していくよりも、最初に基準を作ってそれをクリアするか否かで決めたり、その基準を作った上でさらに他人にやってもらったりする方が失敗しにくいと言えます。
ちなみに散らかった部屋は生産性を著しく低下させる研究結果があるほど悪影響を及ぼすものなので、家で仕事をしたり勉強をする人は部屋を片付けた方が効率が良くなります。
今日はここまで、
最後に片づけで悩まないための1つの方法があります。
それは散らかさないことです。
元も子もないようなことですが、散らかさなければ片づける必要がありません。
更に言うと散らかるような要因となる物を必要以上に持たないことも大事です。
去年ミニマリストという言葉が流行りましたが、あそこまでやれと言っているわけではありません(あれは必要な物も捨ててるからダメ)。
物を買う前に本当に必要なのかしっかりと吟味することによって、まず不要な物を家に入れるまえに関所を作り、不要な物が増えるのを防止する必要があります。
病気になって病院に行く羽目にならないように、予防をしっかりしておくことと同じようなものです。